最近、ふと読みたくなり、 タイラー・ハミルトンの『シークレットレース -ツール・ド・フランスの知られざる内幕-』を読みました。(飽きずに何回か読んでいます。笑)
タイラー・ハミルトンとは、ランス・アームストロングのアシストをしていた選手です。
ハミルトン自身もジロ総合2位、オリンピック金メダルなどの成績を残した一流のライダーです。(その成績は後に剥奪される。)
過去のドーピング事情について、包み隠さず書かれています。
個人的な感想を一言で表すと『"ドーピングする奴はクソだ!"とは簡単に言い切れない。この時代の選手たちに同情さえもする』です。
するか、しないか選択の時がくる
主人公のハミルトンは、身長が172cmと、選手としては小柄ながら、誰にも負けない苦痛への異常な強さを武器にのし上がっていきます。
しかし、いざ本場ヨーロッパでのレースに出場すると、勝てないだけでなく、惨敗を喫します。そこは、異常さを感じる程のスピードで、サーカス一団のような超人ぶりな選手たちが、レースをする世界でした。
クリーンな状態で惨敗に惨敗を重ねるハミルトンは、3年目に選択を迫られます。惨敗に惨敗を重ねる選手がプロとしてやっていけるでしょうか。
全体が沈黙の掟で、がっちり守られている自転車界で、個人がドーピングの実態を告発しても、「頭がおかしい奴」呼ばわりされ、UCIでさえドーピングの陽性結果を揉み消す時代だったのです。
夢を諦めて去るのか、それとも沈黙の掟の内側に入るのか・・・
悔しさ、無念さ、自分が墜ちていく悲しさ、、、
その葛藤は計り知れないでしょう。
今だって・・・
今現在、ドーピングが広く蔓延していた状況からは脱しているように見えます。
ただ、この本の中に出てきたように、ドーピングを摘発する医師より、ドーピングを指導する医師のほうが優秀だということは今でっても考えられると思います。
内側ではどのようなことが行われているのか知ることはできません。
現在も、暴けない手法のドーピングが選手間では蔓延していて、例の沈黙の掟で完全に守られているのでは・・・なんて思ってしまいました。
(現代でも、"治療"の名目で、多くの選手が喘息薬を使っているというグレーな状況もあり。。。)
この「シークレットレース」っは、自転車界全体が「いかに上手く薬を使うか」という腐った競争をしていた中での、一人の選手の壮絶な人生を知ることができます。
何度読んでも、読み入ってしまいます。。。